「Ctrl+Alt+Delの湯(2005.02.25版)」より

特定の集団や業界に属する人の間でだけ通用する言葉というものがあります。いわゆる「隠語」というやつです。ある隠語の意味を知っていれば、「ギョーカイ人」を気取ることができたりすることもあります。ちなみに英語では”jargon”と言います。

さて、今回は当社の社内でのみ用いられる隠語を紹介しましょう。その言葉は「ゴロー」。

もういつのことだったか忘れましたが、社内のPC用品を購入する機会があり、ぼくは発注品目をまとめて経理の人に説明していました。「プリンタのトナーと、CD-Rが20枚と、・・・」などと順番に確認していきました。「・・・あと、メモリが256ね」

すると経理の人から聞き返されました。「1ゴローって、いくらですか?」

ゴロー?

とっさに何のことかさっぱりわからず、もしかして今言っていることと全く別の話題なのかしらと思いました。けれでも一瞬前を振り返って考えてみると、ぼくは「256MB」と伝えるのについつい「ニゴロ」なんて発音をしてしまっていたのでした。コンピュータ関係の話の中では、2のn乗の数値は「ロクヨン(64)」「イチニッパ(128)」「ニゴロ(256)」などという読み方をすることが多いですよね。つまり「ニゴロ」だって立派な隠語だというわけです。知らない人にはまず意味がわからない。そのことに思い当たって、もしやと思って経理の人の手元を見ると、しっかり、

「2ゴロー」

というメモ書きがありました。やっぱり。

でもちょっとツボにはまってしまいました。

そんなわけで、「1ゴロー=128」という単位が生まれたわけです。512だと4ゴロー、8ゴローで1024になりますね。もちろん余所では絶対に通用しません。

隠語というものは、その意味を理解している者同士でだけ使う物であって、まったく知らない人に対して専門家気取りで使うのは避けるべきでしょう。「そうですね、クライアントPCの推奨スペックはCPUが1GHz以上、メモリは4ゴロー、じゃなかった512MBで。」などと口走って、相手に怪訝な顔をされることのないように気をつけたいものです。ぼくも反省しています。